
秋になると、山形のあちこちで聞こえてくる「芋煮会」の声。
河原や公園に鍋を囲む光景は、まさに山形の秋の風物詩です。
そんな「芋煮」ですが、実は山形県内でも大きく2つのスタイルがあることをご存じでしょうか。
全国的に知られているのは「牛肉と醤油味」の内陸風。一方、私たち庄内地方では「豚肉と味噌味」が定番です。
同じ“芋煮”でも、地域の気候や食文化によって育まれた味わいには、それぞれの魅力が詰まっています。
芋煮の起源には諸説ありますが、もっとも古い記録は江戸時代中期。
最上川舟運の盛んなころ、船頭たちが川原で里芋や野菜を煮て食べた「川煮(かわに)」が、現在の芋煮の原型といわれています。
秋の収穫期に採れた里芋やねぎを使い、地域の味噌や醤油で味付けした素朴な鍋料理――それが時代とともに発展し、やがて地域ごとに独自の“芋煮文化”が根づいていきました。

山形市を中心とする内陸地方では、牛肉・里芋・こんにゃく・ねぎなどを使い、醤油ベースで仕上げるのが主流。
味の決め手は、砂糖と醤油の甘辛い味わいと、牛肉の旨みが溶け込んだ澄んだ汁。
秋になると、最上川の河原で大鍋を囲み、家族や友人とともに味わう「芋煮会」は県内外からも注目される行事となっています。
山形市で開催される「日本一の芋煮会フェスティバル」では、直径6mの大鍋で数万食が振る舞われるなど、まさに山形の秋を象徴する一大イベントです。

一方、日本海側の庄内地方では、豚肉と味噌で仕立てる芋煮が主流。
具材は里芋のほか、にんじん・ごぼう・しめじなど、家庭によってさまざまです。
味噌の香りと豚肉のコクが溶け合い、まろやかで体がほっと温まる味わい。
内陸の芋煮よりも汁が濃く、とろりとした“豚汁”に近い印象を持つ方も多いかもしれません。
また、庄内では酒粕を加えるご家庭も多く、「我が家の芋煮」としてそれぞれの味が受け継がれています。
酒粕のやさしい甘みと香りが加わることで、より体が温まり、冬に向けてうれしい一品になります。
現在、山形県内のスーパーでは、芋煮会のセットを予約販売しているスーパーも数多くあります。
選べるお肉+基本の野菜、どんぶりやコップなど使い捨て容器やごみ袋など、至れり尽くせりのセットです。スーパーによっては、鍋やおたまはもちろん、ゴザやかまど、BBQコンロなども貸し出ししてくれるところも。

また、どこの地域でも内陸風・庄内風それぞれの「芋煮のたれ」が並び、どちらの芋煮も家庭や職場、地域イベントなど、さまざまな場面で手軽に楽しまれるようになりました。
県外からの移住者や観光客の間でも、「同じ山形でも全然違う!」と驚かれることも少なくありません。
それでも、どちらの芋煮にも共通するのは、“みんなで囲む”温かい時間。
芋煮は単なる料理ではなく、人と人をつなぐ山形の心そのものです。
豚肉を使う庄内風の芋煮には、米を食べて育った「米の娘ぶた」がぴったり。
甘みのある脂とやわらかな肉質が、味噌仕立ての汁によくなじみ、くどさのない上品な味わいに仕上がります。
使いやすいこま切れ肉はもちろん、柔らかく、甘い脂と味噌の相性が抜群なバラ肉もおすすめ。
ぜひ秋から冬にかけて、ご家庭でも芋煮を楽しんでみてください。
庄内風の芋煮を作るなら…米の娘ぶたのバラしゃぶしゃぶ用かこま切れがおすすめ!

